ヘイデンが称賛される理由は、そのうっとりするようなプロダクションワークにあるにちがいない。美しい整然としたテンポを常に崩さずに、滑らかな洗練された音があふれ出るみずみずしいサウンドを生みだしてきたのだ。本作では、ヘイデンのベースが低音の驚くべきヴァイブレーションを引き出し、何曲かではベローアが、ささやくように微妙なミリタリースネアのシャッフルを加えながら、おだやかなボンゴの細かな音を周囲に添えている。ルバルカバのもっぱらの関心は、つむぎだす音を果てしなく漂わせ、追い求めるメロディアスな旋律を常に完璧にリラックスさせることだ。
「Night of Wandering」ではパット・メセニーがアコースティックギターを、言わずと知れたメキシカン・スタイルに負けないくらい、ジャンゴ・ラインハルトを彷彿(ほうふつ)とさせるとがったストロークを用いてかき鳴らしている。ジョー・ロヴァーノあるいはダヴィッド・サンチェスを迎えた6曲は、やわらかなテナーサックスによって官能的に磨き上げられている。さらにヴァイオリニストのフェデリコ・ブリトス・ルイスは、心揺さぶるヴァイオリンの腕前を3曲に提供している。ヘイデンはまた、自作のオリジナル曲2曲も披露していて、その中の「Nightfall」のベース・ソロでは一音一音に味つけをして味覚を潤してくれる。本作は桁外れのアルバムで、今聴ける中で最もくつろいだセッションのひとつに数えられるのはまちがいない。味気なさとはまったく無縁の1枚だ。(Martin Longley, Amazon.co.uk)
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